気づいたら、ダイエット方法だけはプロ並みに詳しくなっていた。
糖質制限もやった。
16時間断食もやった。
置き換えダイエットもやった。
レコーディングダイエットもやった。
やる気だけは本気だったと思う。たぶん。
それなのに、結果だけがついてこない。
むしろ、数字のほうはなぜか逆方向に進んでいた。
今振り返ると理由はわりとシンプルで、
私は「痩せる方法」を集めることに夢中になっていて、
「続けられる方法」はひとつも選べていなかった。
その間にも、私はあるスキルだけを着実に伸ばしていた。
ダイエット情報収集能力だけ。
糖質制限:米を敵にした日
最初に始めたのは糖質制限だった。
「炭水化物は悪らしい」という情報を真に受けて、私は米と距離を取った。
昼はサラダチキン、夜は野菜中心。突然、意識が高い人になった気がしていた。
……と言いたいところだけど、現実は違った。
唐揚げ三昧。
「これ糖質入ってないでしょ?」
そう言いながら、夜に唐揚げ+マヨネーズというフルコンボを普通に食べていた。
さらに言うと、唐揚げはレタスで包んでいたのでカロリーは実質0という認識だった。
野菜に包まれている時点で健康食に昇格した気がしていた。
結果、米は抜いているのに、しっかり重たい生活が完成していた。
16時間断食:空腹との静かな戦争
次に挑んだのが16時間断食。
朝は水で乗り切る。ここまでは意外といける。
最初の数週間は順調だった。
体重はするすると4キロ落ちた。
「これはいけるかも」
本気でそう思っていた。
でも、そこから先がピタッと止まった。
どれだけ続けても、それ以上は1グラムも減らない。
そのうち、頭の中が食べ物で埋まっていくようになった。
「まだいける」「いやいけてない」「むしろ今すぐ食べたい」
そんな思考を抱えたままルールだけは守ろうとする。
そして、我慢の限界が来た瞬間に静かに崩壊した。
嫌になって、断食もやめた。
反動で、しっかりフルスロットルの食事に戻り、
気づけば体重も元通りになっていた。
置き換えダイエット:夜の暴走システム
次に試したのは置き換えダイエット。
日中はドリンクでなんとか乗り切れる。ここまでは順調だった。
問題は夜だった。
反動が一気に来る。
抑えていた食欲が解放されて、気づけば止まらない状態になる。
結果として、8時間の間に約3000キロカロリー。
本人の感覚では「今日は頑張った日」なのに、現実はしっかりカロリー過多。
置き換えは成功しているようで、実態は“夜に集中放出する仕組み”になっていた。
レコーディングダイエット:美味しかった日記化
もう一つ忘れてはいけないのがレコーディングダイエット。
「とにかく書けば痩せるらしい」という情報を信じて、食べたものを記録することにした。
朝:食パン
昼:ラーメン
夜:唐揚げ定食
ここまでは一見ちゃんとしている。
問題はその“評価欄”だった。
「美味しかった」
「満足」
「また食べたい」
気づけばカロリー管理ではなく、完全にグルメ日記になっていた。
しかも記録していることで妙な達成感まで出てくる。
「今日ちゃんと書いたしOK」
結果として、記録は増えるのに体重は減らないという現象が起きていた。
共通する謎ルール
今思うと全部に共通していたことがある。
・ルールは作るのに守りきれない
・「今日だけ特別」が毎日発生する
・ダイエットアプリだけが一番真面目
・自分だけ独自の理論で生きている
あすけんだけが、ずっと現実を見ていた。
結論:いちばん続いていたのは情報収集
結局いちばん続いていたのはダイエットそのものではなく、
「次はこれがいいらしい」という情報を探すことだった。
方法を変えるスピードだけは誰よりも速かったと思う。
あとがき(今の視点)
たぶんあの頃は、やり方が悪かったというより
「これさえやれば変われる」という方法をずっと探していたんだと思う。
糖質制限も、断食も、置き換えも、レコーディングも。
どれもちゃんとした方法として試していた。
でも今なら少しだけわかる。
ダイエットは、一発で結果を出す方法を探すことじゃなくて、
普通の人が普通にやっている生活を、少しずつ身につけていくことなんだと思う。
特別なことを頑張るというより、
お腹が空いたときにちゃんと食べて、
食べすぎた日は少し整えて、
そのくらいの小さな積み重ね。
振り返ると、それがいちばん地味で、いちばん続くやり方だったのかもしれない。
それがわかった今でも普通にリバウンドはするけどね。


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